◆丑三つの村 (田中登)
ンポココ的採点板:[★★★★★]
| VHS:丑三つの村 → Amazonで詳しく見る 原作本:丑三つの村/西村望 |
1983年/日本
監督:田中登
原作:「丑三つの村」西村望
出演:古尾谷雅人、田中美佐子、池波志乃、大場久美子、五月みどり、石橋蓮司、夏木勲、原泉、ビートきよし、他
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2 26事件と阿部定事件の2年後、日中戦争まっただ中の1938年(昭和13年)5月21日、岡山県津山市の外れの小さな山村で“都井睦夫”とされる数え年22歳の青年による大量殺人事件が起こった。
“夜這い”の旧習が残る零細農中心の閉じられた山村で、繰り広げられた惨劇による死者は実に三十名、重軽傷三人。
都井は地下足袋にゲートル、頭の鉢巻に二本の懐中電灯を角のように刺し、胸にも自転車用の懐中電灯を下げ、腰に日本刀と二本の匕首を挿すという猟奇的な装いで、ダムダム弾を装填した猛獣用の猟銃を手に、あらかじめ送電線を断ち真っ暗闇となった部落で自分の祖母を含む三十人を惨殺した。
・・・この事件がこの映画の元ネタで、ストーリーは概ね事件の経緯をなぞっている。
あらすじ
犬丸継男(古尾谷雅人)は、“村一番の秀才”と呼ばれる頭脳明晰な子供時代を送ったが、虚弱な体と両親を早くに亡くしたことから農作業など村の男がする基本的な仕事さえすることなく、祖母のはんに甘やかされて育つ。
村は閉塞的で、“夜這い”の風習が色濃く残っており、出稼ぎなどで夫が村を離れた隙に他の男がもぐりこむといったことが半ば公然と行われていて、継男もその洗礼を受け数人と関係する。村一番の秀才と言うことでもてはやされ有頂天になるが、夫が帰って来たからとか、よそに嫁ぐことになったとかいう女の話には一切聞く耳を持たずに身を引かれると逆上。(ストーカーのハシリ?実際、都井睦夫も関係のあった女が嫁いだ先に、新婚の夜に夜這いをかけて離縁に追い込んだりしている。)
面白がられて相手をされていた継男だが、徴兵検査で事態は一変する。結核と診断されてしまうのだ。
これを機に村の女達はおろか男も、祖母と幼馴染のやよい(田中美佐子)を除いてみんなが継男を避けるようになる。軍での活躍の夢もかなわぬものとなり、絶望の中唯一心のよりどころだったやよいまでも嫁ぐ事となり、継男は一層孤立していく。
軍隊が無理ならばと教師の夢を掲げるが、小さな村でのおだてられのぼせた秀才が国家試験に通用するわけも無く、行き場の無い継男の疎外感は、次第に自分を避けた村人達への怒りに姿を変えていく・・・。
継男はついに土地を担保に密かに買いそろえた猟銃をはじめとした武器で、自分と関係しておいてそっぽを向いた女達とその関係者の襲撃を実行する。ただ、思いを寄せていたやよいにだけはあらかじめこの計画を伝えていた。彼女は最後までよりどころであり愛しいものであったようだ。
祖母だけ一人残せないと言う理由で、最初の犠牲者は祖母・はんである。(このおばあやんはひたすら継男をかわいがって、老いた身で必死に育ててきた挙句斧で殺される。あまりにかわいそうだ・・・。)
その後は殺戮の嵐・・・。途中で止めに戻ったやよいと出くわすが、始めてしまった継男はもう迷わない。三十数人を殺傷後、『皆様、さようならでございますよ』という捨て台詞を残し自殺する・・・。
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排他的な村社会で鬱屈し続けた青年。唯一面白いのはこの青年だけが村の近親婚を含めた悪しき風習を、“血が濃くなる”と言って糾弾していたことぐらいか。その他全ては自分を認めてくれない他人に怒り、批判し傷つけると言う、酷く身勝手で幼稚な行動に集約されてしまう。何故こんなよそ者は叩き殺すような村を思い切って出なかったのだろう。祖母は“私一人置いて出て行くような冷たい人間じゃない”と言っていた。その閉鎖的な考え自体も村社会の特色と冷徹に言ってしまえばそれまでだが、この青年もそう思ってたのではないか?出ていけなかったのは優しかったからというより、病気や、幼い頃から両親不在などの不運が作用したんじゃなかろうか。そう思うとこの青年もほんのちょっとは被害者と言えなくも無い。
コミュニティを守るためにひたすら入口出口を無くしていく引っ込み思案なやり方は、現代の日本でもいたるところで生きていて見苦しいものを産んでいたりする(逆にある文化となって美点になってたりもするが。)。
・・・そもそも、成熟したオスが群れから離れていかないって、生き物としておかしいと思うんだが。狭いところで同じ人の話だけ聞きながらぐるぐる回って生きていくと、螺旋は内側へ回っていってしまうんじゃないか。
映画から随分話がそれました。かなり実話を忠実に再現してるのでレビューも実話への感想などと混じってしまった。
最後に付け加えるのは、古尾谷雅人のぶっ飛んだ演技がすごい事。・・・田中美佐子が超カワイくて最高なのは言うまでも無い。
【ンポココ】
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Comments
ヤココ的採点板:[★★★★★]
何を隠そう、ワタシもこの映画大好きなのである。
今回もうだーいぶ何年ぶりかで観ましたが、やっぱりおもしろかった!ンポココは最初から最後まで美佐子タン萌えしていたが、
ワタシはといえば若い頃の故・古尾谷雅人ファン。天つばでも書いた『ヒポクラテスたち』も好きです。ひょろっちい古尾谷くんの、弱いけどプライド高くてキレる、という演技はすさまじいでございますが、石橋蓮司のコワさにはかないますまい!!若い、そしてお顔がコワイ!!
つーかこのディープニッポン内容にして、この力の抜けるへなへなの80年代シンセ曲!美佐子のおっぱい、そして蓮司の顔面!!!(しつこい)
いろんな意味で見どころ満載です。
つか、津山三十人殺しの題材がそもそも面白いんだよね。映画にしやすそう、というか。想像をかき立てられるというか。
この事件は、こちらもワタシの大好きな山岸凉子が「負の暗示」というマンガにしています。単行本『パイド・パイパー』に収録…と思ったら絶版?文庫版『神かくし』で読めるようです↓。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4253172466/goodpic-22/ref=nosim/
山岸作品では地味ながら傑作だと思いますよ。こういう精神的な闇のお話を描くと、ほんとに巧いですよね…なんつーか、抑えた恐ろしさが…。
【ヤココ】
Posted by: ヤココ | November 26, 2005 at 02:05 AM
ヤココも五つ星ですか。ストーリーはやよいとの恋愛なんかをセ書き加えてるぐらいでほぼ事件のまんまなのに、すごく良くできてる感じがしますね。やはり元ネタが強烈なんでしょう。阿部定事件もそうだけど、このころの事件って情念がたっぷり詰まってて、現代には無い濃さをかもし出してるな・・・。
それプラス俳優陣の超熱演ですよ。脇役にも光ってる人が多い。
Posted by: ンポココ | November 27, 2005 at 10:44 AM