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February 12, 2005

◆哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語 (ペーター・シャモーニー)

ヤココ的採点板:[★★★☆☆]

DVD:哀愁のトロイメライ/クララ・シューマン物語
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1983年/東ドイツ・西ドイツ
監督:ペーター・シャモーニー
出演:ナスターシャ・キンスキー
   ヘルベルト・グリューネマイヤー、ロルフ・ホッペ
   ギドン・クレーメル
演奏:ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウ
   ヴィルヘルム・ケンプ 、イーヴォ・ポゴレリッチ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<!!注!!ネタバレあり>

天才作曲家のシューマンの妻であり、
彼女自身優れたピアニストだったクララを中心においた
愛と芸術を巡るシリアスドラマ・・・なのであるが…

何気なくこっそり、変な映画である。
観た方はおわかりになるだろうが、あの、力の抜けるラスト…
それは後述するとして
ま、まずは邦題がヘンなんですけどね。

原題は、『Spring Symphony(交響曲「春」)』。
ピアノ小品を得意としたシューマンが最初に書いた交響曲名で、
物語の中でもちょっとだけキーになっています。
シューマン的には「トロイメライ」のほうが有名とはいえ、
80年代とはいえ・・・・なぜ?よろしく哀愁。


ドラマ的にはひとことで言うと、
シューマンとクララ、クララの父 三者の愛憎劇。

シューマンが、後に妻となるクララと出会った時
彼女はわずか11歳であった。
貧乏苦学生であったシューマンが、音楽を志すために
遅まきながら弟子入りした師匠の娘さんだったわけで。
師匠に才を認められた一番弟子のシューマン、
幼い頃から天才少女ピアニストであったクララは
良き友人であったが、クララが成長して一線を越えると、
父はシューマンへの態度を翻し、関係がこじれていく。

シューマンとクララは、互いが自らの芸術そのものであり、
霊感の源であり、運命の恋人であるわけだが
クララ父としては、女たらしで躁鬱の気があり、
生活力のないシューマンなどに娘をやるわけにはいかない。
売れっ子のクララを連れて世界を興行して廻っている
クララ父にとって、クララは生活の収入源でもあるのだ。

シューマンはヘタレゆえ、父の言うことは尤もなのであるが、
父はだんだんクララへの執着が度を増してきて、
妨害に偏愛、ちとパラノイアじみてくる。
なわけで見ているこちらとしては、
若い芸術家二人の恋を応援するよーな視点になる。

我が身と生活を犠牲にしてサポートしてくれてた父に
強く恩義を感じるクララはファザコン気味でもあり、
なかなかシューマンだけを選ぶことができないのだが
裁判沙汰の挙げ句ついに父と決別し、二人は結婚する。
大衆のための芸術を嫌っていたシューマンも
クララのために、世間に認められるために、
交響曲「春」を書き上げ(当時は交響曲を書いてこそメジャー)、
メンデルスゾーンの指揮で見事初演を果たす。

ああ、2人はやっと最初の一歩を踏み出せた・・・
と思ったらラスト、大成功の初演の中
シューマンがクララに不穏な言葉を吐き、
さっくりエンドロール。

はううっ。
クララ父はイカレてて悪者だし、
クララの優柔さにやきもきしていたこっちは
ぐるうりと視点をひっくり返される。
やっぱり全部がうまくいかなかったのは
シューマンがダメだったせい??
クララ父の心配と、クララの優柔さが鋭かったのっ?
だ、だまされた。。。と。

いやあ、つうかこの顛末がほんとにあっけないのねえ。
引っ張るだけひっぱって、感情移入させといて手を離す、
それがなんつか 確信犯ドラマ的、というよりは、
むしろ無感情、ってくらいにあっさりしていて
気が抜けて笑っちゃうくらいの感じです。

実際はこのあと、シューマンは躁鬱が増して気が狂い
クララに恋慕するブラームスなんかも絡んできて、
大変不幸なことになっていくわけですが
そのあたりには本作では一切触れず、
ただクララとシューマンが最高潮に幸せな時をきりとり、
とつぜん黒ーい余韻だけを残して意地悪く終わる、と。


しかし、ドラマはちょっと恋愛沙汰がくどいので
本作のおもしろみはストーリーそのものよりも、
役者のみなさんの濃ゆさによっていると思われます。

まず、出会った時クララは11歳?ん?とお思いになるだろうが
ええ、まさにその通りで。少女時代の可憐なクララに、
まとわりつくよーに粘っこく視線を送る
ロリコンじみたシューマンが非常にキモくてよろしい。
てかこのシューマン役、イイ顔ブサイクでしかも半ハゲ。
んで、夢見るような芸術家独特のエロさがある。
夢想家だったシューマンにぴったりなのではないか。
しかし以降の彼は、なんの映画にも出てないようだが。げら。

クララ父が、少女期のクララをバスタブで洗ってあげる
なんていう、今となってはとんでもない場面も出てきます。
堅い桃のように小さく膨らんだ胸が晒されるそのシーンは、
まさにバルテュスの絵画のようで、倒錯した耽美に溢れていますが
こんなん今ならバッシングも良いとこじゃないだろか。
それとこれとは別だと思うのですが、
でもほんとにアブナイしね、昨今は・・。
変態なんぞ芸術家の特権…とかいうとあれだけど
実際、ロリコンなどめずらしくもなかった訳ですが、
迂闊にそんなことも言えませんね。性犯罪者、極刑。


かようにロリ臭をふんぷんに撒き散らしていたクララは
あっという間に成長して、今度は
ナスターシャ・キンスキーとなる!!ぎゃぼーーー!

音楽一本でスパルタされたクララは、一般的な学がない。
パパの教育で、社交お嬢コーティングされてはいるけど、
その下に、どことなくいびつで野性的なある種の下品さや、
奔放なエロスが見え隠れする。
それをまたナスターシャが、見事に好演。
何をやっても上品になりそうな彼女だけど
品のない演技もできるんですなっ!もちろん美しいですよ!


もちろんシューマンの名曲もモリモリ出てきます。
あ、ヴァイオリニストのギドン・クレーメルが
もじゃもじゃ頭・パガニーニ役としてちょい出演してます。
といえば、ナスターシャの実父、クラウス・キンスキーは
パガニーニ』でパガニーニ役やってましたな。
本作のピアノ演奏は、ヴィルヘルム・ケンプなどが
吹き替えているようです。

なんて、いろいろと見どころが多いのですよ。
映画としての評価でいえば★3つなのだけど、
実は結構おもしろみがあって、
個人的に好みだったりする映画です。


【ヤココ】

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Comments

クララシューマンってロベルトシューマンの奥さんなんですかね(?.?)
私は今度トロイメライを弾くのですがクララシューマンがピアニストということはトロイメライはロベルトシューマンが作った曲なんですよね。(確かロベルトだった気が…しなくもない…)
む、難しいとこですわ\(*>0<*)/

Posted by: 有実 | September 13, 2005 at 09:55 PM

有美さん コメントありがとうございます。
私は詳しいことはわからないのですが

http://www.ops.dti.ne.jp/~totoroo/musik/schumann/
シューマンおたく学会&クララファンクラブ
なるものがありました。
なにかの参考になりますでしょうか・・・?

ご自分でピアノが弾けるのって
羨ましいです、聞くのは好きですが弾くのはちっともなので
ピアニストの映画など見るといつもうっとりしてしまいます。

Posted by: くるっぱー | September 19, 2005 at 02:33 AM

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