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September 26, 2004

◆ソドムの市 (ピエル・パオロ・パゾリーニ)

くるっぱー的採点板:[★★★☆☆]

DVD:パゾリーニ・コレクション ソドムの市 (オリジナル全長版)
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1975年/イタリア
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:パオロ・ボナチェッリ、ジョルジョ・カタルディ
   ウベルト・パオロ・クィンタヴァッレ
   アルド・ヴァッレッティ、カテリーナ・ボラット
   エルザ・デ・ジョルジ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<!!注!!ネタバレあり>

判断停止。
喧嘩上等。
閑話休題。

いやはやなんとも。なんといっていいやら。
原作はマルキ・ド・サド「ソドムの120日」。
パゾリーニの映画は見たことがなくて、
なんとなく手にした本作。
お耽美倒錯ものかと思いきや。
かといってただのエログロスカトロかと
いうとそうでもなく。

ちょっと考えこんでしまいましたな。ゲージツってなに?と。

あらすじは-------------------------
ヒトラー占領下の北イタリア、1944年。
●地獄の門
快楽至上主義者の4人(大統領・最高判事・大司教
公爵) が人狩りを行い、選別し、それらの人々に、
「おまえたちは快楽のために奉仕するためだけに
存在する」と告げる。
ここではありとあらゆる悪徳が美徳。
狂乱の宴のはじまりである
●変態地獄
語り部の猥談?を聞きながら
男色、その他もろもろ変態行為が行われる。
時折美学談義あり。
●糞尿地獄
文字どおりスカトロざんまい。
●血の地獄
拷問満載。

------------------------
と あらすじを書く筆も鈍るっちゅうか。
とはいえそういったエログロなものに
ただ辟易したわけではないのです。
実際、作中のそういうシーン、確かにグロいといえば
グロいのですが噂ほどには、衝撃的でも
センセーショナルでも劣情を催させるようなものでも
ありません。
かといって、そこになにか哲学的、あるいは
芸術的な光明を私が見出したかというと、それも疑問。

「つまんなかった」

で 終わってもいいのですが
どうもなにかひっかかる。
あまりにも暗喩に満ち(ていそうにみえる)、
なにかあるのではないか、そう思えてしまったのです。
それで結局いろいろ調べたりしたんですが
調べた結果この映画自体についていろいろ
考えたというより
「ゲージツ」ってなんだ?の方向に疑問の矛先は
変わっていきました。

本作にしてみても 予備知識なしで見た感想は
「・・・あんまりおもしろくない・・」
が正直なところだったのですが、なんとなく香る
ゲージツ臭に私は負けてしまったわけです。

解説もあれこれ読んでしまいました。
で パゾリーニのそれまでの作品から見てのご意見、
政治的な観点からのご意見、
ダダ、未来派、シュールレアリスムからの観点から
サドの原作をふまえての文学からの観点から・・と
いろんな人がいろんなこと言っていて
いちいち あーなるほど なんて思ってたんですけど。
それはそれでおもしろかったんですけど。

そういう教養とか下地がないと楽しめない??

いや それを否定しているのではないのです。
あの映画を見て単純に犯罪の言い訳にする想像力の
ない人も実際にいたわけで
(↑1979年 三菱銀行猟銃強盗殺人事件)
パゾリーニもそれは不本意だったろう、と。
もっと理解してほしかったろう、と、思ったりですね。

第一、自分が理解できなかったものを
「つまらなかった」で終わらせるのはそれこそ
「つまらない」ことですから。

ですからこれを見て、私自身好奇心を刺激されたことを
否定的に受け取ってはいないのですが、でも
なにか胸にくすぶる。

例えば現代美術のことなどですか。
よく私もうっかり口に出しますが
「わかる、わからないじゃなくて見て楽しめばいいと
思うのよ」という言説。
あれはかなり綺麗事ですね。
やはり現代美術をおもしろがるには、それまでの
美術の歴史やその作家の背景等、
いろいろな文脈を理解しておかないと
つまらないですよね、正直言って。
そういう部分が必要なこととはわかっているのですが
そういった知識だけをふりかざして芸術だか芸術なんだか
わからないものをあれこれ云々している場面にも
よく遭遇したりします。

その妙にスノッブなところに少し抵抗があるのです。

この映画の中でも
あの狂ったエログロスカトロ饗宴はそれをとりしきる
変態権力者たちにとっては芸術です、
洗練された趣味なのです。
それは知的権力者とでもいいましょうか
(あるいはそれを気取った人)だけが楽しめる
芸術の世界にも似た見苦しさがあるように思えます。

芸術を楽しむには確かに自分の感性や好奇心を
常に刺激する必要があると思うのですが
それが変なスノビズムに陥ってしまっては
なんだか格好悪い。
その見極めが難しい。

うんこ食べてる人たちみながら
そんなことちょっと考えちゃいました。
調べた結果、あのうんこはチョコレートだということが
判明しましたので、これから見る人は
安心して見てね♪

【くるっぱー】


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Comments

ヤココ的採点板:[★★☆☆☆]

あーーー。すっごく良くわかる、くるっぱーの意見。
ものすごく同感よ。そうなの、本作ってさあ
何やかやで、すごく有名じゃない?
パゾリーニ『ソドムの市』、
いろんな意味で、避けては通れないというか。
でも。
これは大変な問題作なのだろう と実際に観てみると、
それこそ前知識で想像した、漠とした予想とは
はるかに異なる物を見せられてしまい、
なんか 呆然としたのを覚えている。

そうです。おもしろくないんですよ。
ワタシの映画メモによると、★2つです。

実はワタシも、本作についてのコラムを
天つばに書こうとしたのですが なんかね。
書く事が見あたらなかったの。で、書けなかったの。
観た直後とかならまだしも、
時間が経ってしまうと、余計
何を感じたのかわからんくなっている。

本作、内容のセンセーショナルさとは別の所で
(そう、あの内容も、今となってみれば大して
 センセーショナルでもないしね。)
ほんと難しい映画じゃないかなー とワタシも思います。

さりとて切り捨てる事もできない。
おもしろくなくても、わからなくても、偽物ではないわけで。
あのゲージツ臭に、ワタシもやられてしまった口なのです。


【ヤココ】

Posted by: ヤココ | September 26, 2004 at 06:46 PM

丁寧なコメントありがとうございました。実は私の場合、「ソドムの市」を劇場公開時に映画館に見に行ったのですが、カップル客が多かったのと、そのカップル客が帰り際に、映画の内容について、ブツブツ文句を言っていたのを鮮明に覚えています。多分、内容を調べずに、パゾリーニの名前だけで来たのでしょうね(笑)。

Posted by: 下等遊民 | October 07, 2005 at 09:28 AM

>下等遊民さん こんにちは、奥の深い世界、わからない
なりに何か強烈に心に残ってしまった映画でした。
ああいった世界は実は映像に不向きでは と たまに
思います、文学の世界で得ることのできる満足が
視覚化されてかえって興ざめしてしまったりすることが
多いような気がして。

でもこの映画が、デート用映画じゃないことだけは
確信できます。

Posted by: くるっぱー | October 08, 2005 at 02:45 AM

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